#60 田原麻美さん(アニメーションプロデューサー)
田原麻美さん(宮崎県出身)
(田原さん)
「地元にいながら自宅にいながらでもアニメに参加できる環境、自分が行きたいって思ったときに、一度はチャレンジできるっていうところを作りたいと思ってます。」
都内某所。
ここはアニメ制作会社【RICE FIELD】。
今回の主人公は RICE FIELD の社長で、アニメーションプロデューサーの田原麻美さんです。
―――RICE FIELD の業務内容は?
(田原さん)
「アニメが大体15工程ぐらい分かれているんですけど、そのうちの2工程~4工程ぐらい、レイアウト、原画、動画、仕上げ、で、時たまそこに色彩設計とか、そういうのも加わって、お仕事依頼受けてるっていう感じですね。時々、もう1作品まるっとやるときもあるっていう感じです。」
宮崎ではおなじみ『ダンロップフェニックストーナメント』の番組タイトルも、RICE FIELDが自社で手がけています。
取材当日は、リモートでのミーティング。
スタッフのほとんどが自宅で作業をおこなっているんだそう。
(田原さん)
「社長と言ってもまだまだちっちゃい会社なので、社長業だけに専念するわけにはいかないので、結構現場の仕事もやってますし、でもこれはずっとやり続けるんだろうなって。やっぱり人と関わって、アニメを作るのが好きなので、完全にばっと割り切って、”もう自分は経営サイド”ですっていうことは多分性格的にできないと思うので...。」
田原さんは佐土原高校卒業後、デザインの専門学校を経て、武蔵野美術大学へ。
(田原さん)
「(当初は)デッサンを書くのが好きとか、そういう美術系の色が強かったですけど・・・」
大学卒業後、老舗のアニメ制作会社【シンエイ動画】に入社。
アニメ『ドラえもん』の制作進行として携わっていました。
(田原さん)
「”毎年劇場作品を作る”、”テレビもあって劇場作品もある”っていう会社はそんなに多くはないですね。アニメ会社でも数えるくらいしかないので、大きい作品に関われるっていうのはすごく貴重な経験をしたなって思ってます。」
その後、シンエイ動画を退社し、ドイツへ渡り、アニメの会社を起業しようとしましたが、コロナが発生し断念。
日本に戻り、2021年にRICE FIELDを立ち上げました。
―――
学生時代から田原さんをよく知る方に話を聞きました。
宮崎市のとあるクリニックで医師として働く、澤野由季さんです。
田原さんとは小学校時代の同級生で、今でも親交の深い友人とのこと。
(友人・澤野さん)
「ほぼ毎日、昼休みとか一緒に遊んだりしているような感じで、(田原さんは)すごく元気で活発な子でした。
彼女はアニメの分野で頑張っていて、私は趣味でバイオリンを子供の頃からやっていて。
麻美ちゃんが子供の頃からずっと応援してくれているっていう形だったんですけど・・・。」
澤野さんは、アマチュアではありながらも自身のバイオリンリサイタルを開くほどの腕前なんです。
(田原さん)
「(澤野さんは)お医者さんのお仕事も大変だろうに、バイオリンも全然手を抜いてないっていうところが私まだまだ何か頑張ろうって由季ちゃん見て思ってます。」
お二人がそれぞれ刺激しあって、現在の活躍に繋がっているようです。
―――
ここで、今制作中の作品を見せてもらいました。
現在は大学から依頼された教育用のアニメーションを制作しています。
(田原さん)
「こちら絵コンテといって、これを元に原画を描きます。そこからさらに実際に動かす作業が動画というものになります。動画にすると、さっきよりちょっと滑らかに動いている12枚かけて動かしています。」
動画作業が終わったら、続いて色塗りの工程です。
(田原さん)
「ここからさらに、撮影をします。光を入れたりとか、ムービーの1本のカットの完成度を高くする。」
今回はナレーションを入れる作業にもお邪魔しました。
お邪魔したのは渋谷にあるスタジオ「LEAD2001」。
ナレーション収録に立ち会いながら、細かいイントネーションや声のトーンなどを指定していき、作品へ命を吹き込みます。
―――
田原さんがアニメ制作と並行して行っているのが、人材の育成です。
【みやざきアニメ塾】では、生徒募集のためのアニメーションも自社で制作しました。
田原さんが企画したアニメーターを養成するアニメ塾では、プロから指導を受け、最大2年間で技術を学び、最終試験に合格すると、プロとしてデビューできます。
この講座には、北は新潟から南は沖縄まで全国から参加しています。
(田原さん)
「出身地っていうのは変えられないし、資金力も変えられないですし、その人が持つ環境というのを変えることはできないですけれども、私はですね、チャレンジすることだけは平等にあるべきだと思っています。環境にとらわれずにチャレンジすることは平等にどこでもあっていいと思っています。なので、iPad一つでオンラインで学べるアニメ塾というのを作りました。」
これまでの受講者は120名。卒業生のうち15名がプロとしてデビューしました。
現在RICE FIELDで働く福成さんもその1人です。
(スタッフ・福成さん)
「実際のアニメーターされてる方から直接指導していただける機会もたくさんあったので、そういうのがすごく良かったなと思っています。
作りたいと思ってたアニメの仕事に関われて、もちろん大変なこともいろいろあるんですが、田原さんからもいろんなことを学びながら、楽しくやってます。」
―――
その日の仕事終わり。田原さんの姿は新宿にある居酒屋『みやこんじょ』にありました。
霧島の焼酎を呑んで笑顔の田原さん。
(田原さん)
「やっぱり宮崎の焼酎は美味しいです!」
(田原さん)
「東京にいるからこそ気付く宮崎の良さっていうのもすごいたくさんあって、地元にある素材をもっとアピールすることができたらいいなと思って。私はアニメをやってるので、地産地消アニメーションっていうのを作りたいなって思ってます。宮崎の素材で宮崎の人たちと、宮崎のためのアニメを作って全国とか世界に発信するっていうのをやりたいですね。」
”お~い!元気しちょる?”
宮崎にいる友人・澤野さんから贈り物。
(田原さん)
「SUZU KIRISHIMA、この間も呑みました!」
澤野さんからのビデオメッセージ、そしてバイオリンの演奏を聴いて、思わず笑顔がこぼれる田原さん。
(田原さん)
「これからも何かお互い相乗効果でやっていけたらいいなと思うし、やっぱりバイオリン本当素晴らしいです。すごい勇気をもらってます!」
―――田原さんのこれからの夢は?
(田原さん)
「今まだ下請け業務や企業さんの単発の案件が多いので、それは平均してやりつつも、元請け作品―――1作品まるごとっていうのをこれからやっていきたいと思っています。その先にその作品が世の中に認められたら劇場作品とかっていうのを今日いたメンバーもそうだしこれからアニメ塾に入ってくる人、うちに携わってくださる方々と一緒に作っていきたいなと思っています。」