#8 矢野瑛彦(あきひこ)さん(映画監督)
22年4月26日(火) 14:24
矢野瑛彦(あきひこ)さん(36歳・宮崎市出身・映画監督)
これまで5本の映画(卒業制作含む)を自主制作。
2016年に制作した『pinto』では、新人監督映画祭で長編部門グランプリを受賞。
福岡の大学に進学後、映画監督を志し12年前に上京。
東京の映像専門学校「ENBUゼミナール」で映画製作について学びました。
(矢野 瑛彦さん)
「専門学校を卒業してからは、TBSのドラマ美術スタッフをやったりとか
基本的にアルバイトで生計を立てて、お金を貯めて、自主製作で映画を製作するという形をずっと今でも続けている感じですね。」
自主制作のため資金のほとんどは監督が自ら調達します。
(矢野 瑛彦さん)
「アルバイトも基本的にはかけもちでやってますし、足りない部分は借金をして...
融通が利く、体を使うバイト(ゴミ収集やウーバーイーツなど)をしています。」
なぜそこまでして映画を撮るんですか?
(矢野 瑛彦さん)
「すごい辛いんですよ。何年もかけて撮るんで。映画の現場でも編集も大変だし、
これで最後だって何回も思うんですけど、もっとできる。まだまだできる。“もっともっと上に行きたい”という欲求ですかね。」
「もっと上に行きたい」常に高みを目指す矢野さんの性格。
昔からそうだった。と同級生の2人が話します。
(友人 榎園さん)
「中学校の時サッカー部だったんですけど、矢野くんがキャプテンをやってくれて。
結構個性の強いチームメイトが多かったんですけど、それを矢野くんが引っ張って中体連で優勝できました。サッカーしてる時はものすごい真面目で、ただ遊びにも全力。」
(矢野 瑛彦さん)
「あの時(サッカー部キャプテン)の経験がやっぱりものすごく役に立ってますね。撮影現場にいる人たち一人ひとりに気をつかう。」
(友人 榎園さん)
「事あるごとに面倒見がよくて、声かけてくれたりとか周りを巻き込んでいく力がすごくあったなと思います。」
しかし、親友にしか見せない一面も。
(友人 岩倉さん)
「20分くらい歩いて学校に行ってたんで、
ポロっと『ちょっといま苦しんだよね』みたいな。考え込んじゃう性格なのでいろいろ。」
この性格が、映画監督を志すきっかけに繋がります。
(矢野 瑛彦さん)
「大学生活が全然楽しくなくて、人間関係が煩わしかった。一言でいうと。
半引きこもり状態みたいな。することがなく映画を見始めたら止まらなくなっちゃって。」
(友人 榎園さん)
「最初によく話してたのは、北野武監督の映画に感動して、こんな映画を撮りたいと思ったみたいです。」
映画監督になると決意を決めた矢野さんでしたが、
(矢野 瑛彦さん)
「誰しもが映画監督なんて無理だ。とか言うんですけど、僕はやりたくない事を続ける方が無理なんですよ。」
ご両親の反応は?
(矢野 瑛彦さん)
「『あなたの好きなようにやりなさい』って。ただ映画監督に実際になって(両親に)聞いたら、『なれるわけがないと思ってた』みたいで。」
自宅での仕事も多い矢野さん。オン・オフの切り替えはどうしているのでしょうか?
(矢野 瑛彦さん)
「たぶん妻に聞いたほうが...(妻に)オン・オフある?俺。」
(妻)
「オン・オフ無いです。布団の中に入っててもオフじゃないかもしれないです。彼はずっと映画のこと考えちゃう。」
(矢野 瑛彦さん)
「(妻は)一番の理解者なので、妻も舞台の出演家やってまして、『岸田國士戯曲賞』という日本で一番トップといえる賞をいただいてるので、そうやってお互いに...」
“愛する人を大切に” という思いを込めて撮った映画があります。
去年(2021年)制作した新作映画「yes,yes,yes」自身の作品では、初の全編宮崎ロケ
(矢野 瑛彦さん)
「“死”を基盤に家族の崩壊と再生を描いた映画になってます。この映画を見て今身近にいる大切な人たちを大事に思ってもらえたらいいなと思える作品になっています」
映画には、こんな想いも
(矢野 瑛彦さん)
「何回も何回も『辞めちまおう』と『諦めちまおうと』と思うんですけど、頑張れる理由がやっぱり“親孝行”したいなという。僕が思う親孝行っていうのは、『生まれてきて良かった』って思えること。だから頑張れる。」
「次も宮崎で撮ろうとしています。“夢”をテーマに。夢にあこがれた時期っていうのが宮崎にいるときだったので、あの頃の思いを映画にしたい。」
矢野さんのこれからの夢は?
(矢野 瑛彦さん)
「世界三大国際映画祭には行きたいですね。」
ふるさとの友人へ
(矢野 瑛彦さん)
「僕がみんなにできる恩返しは、“映画を撮ること”しかないと思っています。
みやざきに帰ったときは、一緒に飲んでいただければとても嬉しいです。よろしくお願いします。」
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