#52 吉原馬雀(落語家)

お~い!元気しちょる?

25年12月3日(水) 20:00

吉原馬雀さん(宮崎市出身)

 

 

(吉原馬雀さん)

「着物を着た人間が一人で、何の舞台設備もなくおしゃべりをする。

 それで、いろんな世界観をお客様にお伝えして、それが伝わるんですよね。可能性がある芸事だなと思いますね。」

 

東京、池袋。

宮崎市出身の落語家、吉原馬雀(よしわら・ばじゃく)。

 

 

現代の風景や世情を汲んだ創作落語を得意としています。

 

大学卒業後、27歳で落語の世界へ足を踏み入れた馬雀さん。

三遊亭天歌として活躍していましたが、当時の師匠とのトラブルが原因で活動休止を余儀なくされました。

その後、現在の師匠・吉原朝馬さんに再入門して、今年9月に念願の真打に昇進しました。

 

(馬雀さん)

「私一人では、多分、今こうやって真打興行はできていないですね。

 やっぱりお客様の声、そしてなにより、私をまた噺家として拾ってくださった今の師匠である吉原朝馬のおかげ、

 そのほか、業界関係者いろんな方に心配していただきましたけど、助けていただきました。」

 

今年の9月から、都内5か所で真打披露の興行をおこなっている馬雀さん。

この日は池袋での興行なのですが...取材陣との待ち合わせ場所はカラオケボックス!?

 

(馬雀さん)

「落語家の稽古っていろんなタイプがあると思うんですけど、私の場合は、ウチだとご近所に迷惑がかかるので、

 ちゃんと声出してお稽古するときにはカラオケに来るんですよね。結構いると思いますね。こういう噺家さんは。」

 

 

  落語家は―――。

 

  まず、修業期間の【前座】から始まり、その後【二ツ目】に昇進。

  そして最後に【真打】となり、寄席のトリを務めたり、弟子をとったりすることもできるようになります。

 

 

練習が終わって、池袋演芸場へ。

 

(馬雀さん)

「基本的には、一流の人たちが出演をされて、うちの師匠も出ますし。

 特別なプログラムの披露口上というものがありまして、それは幹部のみなさんが私の人となりとか、

 これまでの経歴を紹介してくれるんですけれど。」

 

披露口上。落語家が真打に昇進した際に行われる重要な儀式です。

この日の披露口上には師匠も出演し、弟子の門出を祝います。

 

(吉原朝馬師匠)

「(馬雀さんと付き合って)2年経ちますけど、だいぶ変わりましたよ。落語が。

 声もすごく出るようになったし、明るくなったし。期待しております。」

 

朝馬師匠の期待の言葉に、柔らかくも身の引き締まる表情の馬雀さん。

 

そして、馬雀さんを応援する声は、ここにも―――。

 

 

この日の寄席の高座に掛けられていた後ろ幕。馬雀さんの真打昇進祝いとして贈られたものです。

 

贈り主は、馬雀さんと中学高校で同級生だった伊藤麻子さん。

伊藤さんは、同級生たちと「吉原馬雀日向学院後援会」を結成しました。

 

(伊藤さん)

「今までの努力が実を結んで、同級生として嬉しいな、誇らしいなと思っています。」

 

馬雀さんが落語家を目指すきっかけとなったエピソードを教えてくれました。

 

(伊藤さん)

「当時の担任の先生がラジカセを持ってきて、みんなで落語を聞こうという日があったんですよね。

 馬雀さんも一緒に教室で落語のテープを聞いて、それがきっかけで落語に興味をもったと聞いています。」

 

(馬雀さん)

「それまでの私の中での落語というのが、ちょっと古い、名人の落語ばっかり車から聞こえてくるような、

 そういう環境だったので、(教室で落語をきいて)こういう面白い落語があるのかっていう。

 それがファーストインパクトでしたね。」

 

―――

 

取材当日の披露口上には、馬雀さんを見守ってきたファンも駆けつけました。

 

(ファン)

「彼が前座から二ツ目になるくらいの頃から噺をずっと聴いていて。あんまり上手くはなっていないですよね(笑)

 だけれども、一生懸命さが全然変わらないし、本当に彼は落語が好きなんだなって、そんな気がします。」

「飲み屋さんの二階で小さな落語会をやっていて、その頃から応援していました。

 いつかは、という気持ちがあったので、今日ここに来られて本当にうれしかったなあと、心から思っています。」

 

(馬雀さん)

「お客さんに支えられてこその商売だなというのを、大変痛感しましたね。

 お客さんとの呼吸をどう合わせようかなというのがすごい課題だったんですけど、

 細かいギャグとかもすごい笑っていただけたので、ありがたかったなと思います。」

 

―――

 

新宿の飲食店「宮崎みやこんじょ」。

 

この日は、馬雀さんのことを良く知る先輩・柳家さん花さんと、後輩・桂南楽さんとお食事です。

 

 

(柳家さん)

「(馬雀さんは)まじめだったから。いい意味で。なんか、楽屋でしくじると高座の裏を走っていって

 『俺のバカ!』って言って自分を殴ってたから、すごいなあ!と。」

(桂さん)

「大変なこともあったじゃないですか。その中でも真打になって、いろんな人に祝福されて。

 兄さん(馬雀さん)の人柄なんだなって。」

 

桂さんは宮崎市出身。

来年の1月18日に宮崎市民プラザで開催される【吉原馬雀 真打昇進披露】に桂南楽さんもご出演されるんだそう。

 

 

 

”お~い!元気しちょる?”

 

 

宮崎から馬雀さんを応援する、伊藤さんからの贈り物。

 

 

そして、伊藤さん、日向学院の田村校長、当時の担任・濱田教頭3人からのビデオメッセージも。

 

3人の激励に思わず笑顔の馬雀さん。

 

(馬雀さん)

「(授業で落語のテープを流した)濱田先生は、私が落語家になったことに対して

 若干責任を感じている部分も感じましたけど(笑)

 とにかく元気に頑張っていますので!おかげ様です!ありがとうございます!」

 

最後に、宮崎の皆さんにメッセージ。

 

(馬雀さん)

「普段は東京で落語をしておりますけれども、年に4、5回くらいは宮崎に戻って、

 公民館や小さな会場で巡業させていただいております。

 宮崎の人にとって身近な存在になれるような落語家を目指しておりますので

 これからも応援よろしくお願いいたします!」