#28 才藤大芽(マジシャン)
23年12月6日(水) 20:00
才藤大芽さん(宮崎市出身)
東京・港区六本木のマジックバー・OSMANDに、今回の主人公の姿がありました。
宮崎市出身のマジシャン、才藤大芽さんです。
才藤さんは、2018年に、マジック界、世界最高峰の大会ワールドチャンピオンシップ”FISM”でテクニック部門世界7位に輝きました。
どうしてマジシャンの道へ―――?
(才藤さん)
「大学入学時に、マジックサークルから勧誘を受けまして、軽い気持ちで観に行ったマジックショーが、すごくかっこよかったんですよね。
信じられない気持ちと、自分の知らない世界がバッと拓けた気持ちと・・・。」
才藤さんが通った日向学院高校の恩師・福島さんは、才藤さんがマジシャンになったことをどう感じていたのでしょうか・・・
(恩師・福島さん)
「京都大学の工学部に進学されたので、研究職につくとばかり思っていました。
マジシャンと聞いたときには大変驚きました。」
才藤さんの印象をきいてみると―――
(恩師・福島さん)
「数学がとても得意で、センター試験は数学200点満点でした。総合得点が5教科で9割をこえていました・・・!」
日向学院時代、才藤さんは生徒会活動のほかに、美術部・バンド活動・体育祭の応援団長など、様々なことに積極的に取り組んでいました。
実は当時は神戸大学を目指していたそうなんですが・・・
(才藤さん)
「初めて受けた模試で(志望校を)神戸大学電気電子工学科と書いて、その結果がA判定だったんですよ。
じゃあ、僕は高校3年間なんのために勉強するんだろう・・・?と思ったんですけど。
次の模試でダメ元で京都大学電気電子工学科を書いてみたら、B判定だったんです。これは面白いなと感じて。
京都大学A判定にすることを(高校3年間の)目標にしました。1日18時間勉強しましたね。」
才藤さんは、恩師・福島先生の熱心な学習指導が大学合格へつながったと語ります。
(才藤さん)
「(福島先生は)僕がやることを全て肯定してくれていたので、”僕はこのままでいいんだ、このまま大人になればいいんだ”と思ってました。」
そして、念願の京都大学に現役合格・・・! でしたが・・・。
(才藤さん)
「京都大学って、結構変わった講義をされるんですよ。一番最初の授業で言われたのが、”高校までに学んだ知識はすべて」忘れろ”っていう言葉でした。あんなに頑張ったのに・・・って(思いました)(笑)」
京都大学電気電子学科卒業後は韓国でマジシャンLucasに師事し、世界一のマジシャンを目指し修行した才藤さん。
現在は、東京でマジックショーに出演したり、テレビ番組やイベントなどでマジックを披露する日々を過ごしています。
(マジックバー・OSMAND
エグゼクティブ・プロデューサー 高山さん)
「京大出身のマジシャンということで、非常にインテリジェンスが高くて。
ちょっと普通に考えると、(京大まで行ってマジシャンをしてて)”親は泣くんじゃないか?”っていつも彼には言ってるんですけど・・・。
才能ももちろんですけども”情熱”がなければたぶん出来ないことだと思いますね。」
(京都大学卒・後輩マジシャン 鈴木さん)
「(才藤さんは)雲の上の存在というか、もう立ち姿やカードの出し方から全部かっこよくて美しくて、そこに憧れました。」
才藤さんにとって、マジックの魅力とは―――
(才藤さん)
「お笑いに例えさせてもらうと・・・。お笑いって結構好き嫌いがあると思うんですよ。”笑い”という感情は好みが分かれますよね。
(それに対し)”驚き”は、”驚き”というジャンルの1つでしかない。」
「驚いた人間は、急に心の扉を開いてくれるようになるんですよ。すごく強いつながりが生まれる瞬間なんです。」
「そしてマジックには言葉がいらないんです。
これは、日本に限らず全世界の人間に同じことができると考えれば、これほど強いものはないと僕は思ってます。」
”世界一のマジシャンになりたい”
しかし、その道のりは苦難の連続でした。
(才藤さん)
「(新型コロナの流行で)人が集まれないし、人と人とが会えないという状況でマジックは成立しないので、
ああいうことが起こると”こんなにも仕事がなくなるんだなあ”と(感じました)。」
マジックが披露出来ない日々が続きましたが、才藤さんは挫けません。
(才藤さん)
「”人生の心配事の7、8割は無駄”という言葉がありまして。その心配事をしてる時間になにか面白いものを生み出したほうがいい。
僕はひたすら面白いものを作っておこう(と思った。)」
――――――――――――――――――――――――
才藤さんには、マジシャンとは違う別の顔がありました。
――それは、謎解きのプロデューサー。
訪れたのは、タンブルウィード ナゾベース下北沢。
(才藤さん)
「みんなが(謎解きをしていて)頭の中で完結していることが、マジックとして目の前で起こると、
これはエンターテインメントとして凄くマッチしている、と考えています。」
(タンブルウィード謎解き製作者・小池さん)
「(才藤さんは)エンターテインメントということに関して常に考えているんだな、研究しているんだろうなと(感じる)。
マジックと何かをかけ合わせたらどうなるんだろう、ということを考えていらっしゃって、すごい(と思う)!」
才藤さんにとって、マジックとは―――
(才藤さん)
「画家にとっての絵具。画家って、自分の思っている世界を表現するのに絵具が必要だと思うんですよね。
絵具が無ければ、画家は言葉では自分の世界を表現できない。それが、僕にとってのマジック。
本来、人生には必要のなかったものが、今、僕にとってはなくてはならないものになりました。
多分、僕からマジックをとったら屍しか残らない、それくらいのものだと思っています。」
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