
#44 堀之内礼二郎(映画プロデューサー)
25年4月2日(水) 20:00
堀之内礼二郎さん(都城市出身)
今年2月。ある映画の舞台挨拶が宮崎市でおこなわれました。
その映画のプロデューサーが、本日の主人公、堀之内礼二郎さんです。
(堀之内さん)
「苦労して作った映画を、この宮崎県で上映できることが本当にうれしいですし、
宮崎の人々の心にもきっと届く作品だと信じて作っていますので、ぜひ多くの方に見て頂きたいなと思っています。」
堀之内さんが手がけた映画とは―――
映画「港に灯がともる」
阪神・淡路大震災の年に生まれた在日コリアン3世の灯(演:富田望生さん)が、心に傷を抱えながらも自分・家族・神戸の街に向き合っていく物語です。
撮影はすべて神戸でおこなわれ、震災から30年たった今年1月17日に全国で公開されました。
―――
取材当日、堀之内さんに連れて行っていただいたのは、兵庫県神戸市の灘丸山公園。
ここで、映画「港に灯がともる」のメインビジュアルを撮影したんだそう。
(堀之内さん)
「すごいいい景色で、、、。大好きな景色です。」
神戸の街に思いを馳せながら、堀之内さんのこれまでを伺いました。
元NHKのプロデューサーとして、人気の朝ドラ「カムカムエヴリバディ」などを手がけた堀之内さん。
映像の世界に興味を持ったのは、身近な人の影響でした。
(堀之内さん)
「父が本当に映画やドラマが大好きで、(小さいころ)一緒にレンタルビデオ屋さんに行って”何か観たいものあるか?”と借りて、一緒に観せてくれたりして。その中で自分の映像感覚だったりとか、フィクションだったり映画を作るっていうことを、すごく魅力的だなと感じたというのは、やはり原体験だったんじゃないかなというふうに思います。」
―――
堀之内さんの父、芳久さんに話を伺いました。
芳久さんは、堀之内さんの地元・都城市にある建設会社を営んでいます。
(父・芳久さん)
「(礼二郎さんは)手のかからない子でしたね。優しい子でした。僕は彼が作るドラマは好きです。
今回の映画もそうですけど、、、”弱者”ですよね。”弱者”に対してのあったかい目線をもったというのが、彼の優しさなんじゃないかなと思います。」
映画「港に灯がともる」は、堀之内さんが独立後、初めて世に送り出した映画です。
(堀之内さん)
「派手な映画じゃないんです。ただ、この映画でしか触れられない心の部分がある、そんな映画だろうなと思ってて。」
―――
神戸市長田区。
堀之内さんはNHKを退職後、映像プロダクション「ミナト・スタジオ」に所属し、神戸を拠点に活動しています。
取材当日は、長田で活動する映像作家を訪ね、「港に灯がともる」のメイキングビデオ編集の立ち合い。
堀之内さんの印象を聞いてみました。
(映像作家・池田さん)
「例えば下町とかで、一般の人から”何撮影してんのや~”って話しかけられた時に(堀之内さんが)バーッと走って行って(対応して)・・・
(そういうのを見てると、堀之内さんは)誠実であり、丁寧であり、でも、情熱がある(人だと思った)。」
(堀之内さん)
「プロデューサーって何する人ですか?ってよく聞かれるんです。
やっぱりまだ一般的には馴染みのない仕事かなとは思うんですが、全部をずっと通して見ていくというのが、
プロデューサーの仕事であり面白いところなんじゃないかなという風に思います。」
企画の立ち上げ、資金繰り、撮影の準備、宣伝など、多岐にわたるプロデューサーの業務ですが、さらに今回の映画では、大切な役割がありました。
(堀之内さん)
「(映画の中で)お父さんと娘でぶつかり合うようなシーンとか、
実際に演じながら、演じる方々の心が傷ついてしまうような場面があって、
カットがかかっても現実に戻って来られないみたいな部分があった時には、
元に戻れるように時間をとりながら撮影を進めていきました。」
主演・富田望生さんのリアリティあふれる演技は、圧倒的な存在感を放っていました。
時には役に入ったまま、複雑な心境になることも。
(堀之内さん)
「心のケアが、この映画の大事なテーマだったので、そこの部分を、ちゃんと撮影をしている側も意識しながら撮影するということが大事だし、難しいところでした。」
―――長田で100年以上続く、丸五市場。
(堀之内さん)
「映画の、すごく大事な舞台にもなっていまして、震災の時に火事にあわずに被害を免れたので、色んな物資とか色んな助けをしたという場所なんですね。」
「長田という土地に住まわれている方はもちろん、近所の方々にとってはこの市場はすごく大事な場所なので、ぜひ映画のなかで描きたいと思っていた場所でした。」
丸五市場の中、そば飯のお店”いりちゃん”は、映画にも登場しました。
(堀之内さん)
「そばめしっていうのが長田のソウルフードにもなっていて、ぜひ(映画で)紹介したいと思いました。
やっぱり映画って、匂いとか味を伝えることができないので、こういった食べ物を出すことによって、
味だったり匂いだったりを想像させて”食べたいな~”とか”行ってみたいな~”と、
その場にいるような感覚になってもらうために、すごく効果的な食べ物なんじゃないかなと思っています。」
―――
堀之内さんの想いが詰まっているこの映画「港に灯がともる」。
実は、父・芳久さんは辛口の感想を伝えていました。
(父・芳久さん)
「僕はいまいち刺さりませんでしたね。
皆さんは、大変、褒めていただく方も非常に多かったんですけど、息子にも言いましたけど満足していないですね。」
「楽しい映画をたまには作れよと言ったとこでした。次はみんなにウケる映画を作ると言ってくれましたけど。」
(堀之内さん)
「ワンピースとか、ドラゴンボールとか、分かりやすくて明るくて派手なものを作ればいいのにと言われたんですけど、、、。
今回つくったものは、多くの方が楽しく観られるものではないかもしれないんですけど、弱っていたり、弱い立場にいたり、動けなかったりしている方々の希望になるような映画になればいいなと願いを込めて作ったものなんですね。」
”お~い!元気しちょる?”
父・芳久さんから、霧島焼酎のプレゼント。
(堀之内さん)
「(霧島焼酎)大好きなんですよ。
でも、映画の成功を祈願して、半年くらい一滴も(お酒を)飲んでないです!
今日は解禁したいなと思います。これで。」
堀之内さんから見た、父・芳久さんの姿とは―――
(堀之内さん)
「今回の仕事もですし、僕の仕事もずっと応援してくれて。
本当に僕にとっては大きな存在なので、いつか父のようになれたらいいなと思いますし、まだまだ全然届かない存在なんですけど、そういう大きな目標でいてくれて本当にありがたいなと思いますし、頑張ることが恩返しかなと思っています。」
堀之内さんが今後つくりたい作品を伺いました。
(堀之内さん)
「楽しい作品だったり、しっとりした作品だったり、いろんな作品をずっと長く作り続けていきたいなと思っています。
そういった作品を通じて、もっと世の中が優しい世の中に、いい世の中になれるような、そんなことを目指しながら、そんな願いを込めながら作品を作り続けて、届け続けていきたいなという風に思っています。」
「半年ぶりの霧島、美味しかったです!乾杯!」
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