大雨に思う・・・

ノダっち

21年9月14日(火) 16:45

きのう、心配されるとお伝えした
雨雲の発達が早速ありました。

昨夜、宮崎市の南部付近を中心に
発達した雨雲がかかりやすくなって、
宮崎空港では
6時間雨量が249.5ミリ、
12時間雨量が290ミリに達しています。

たった6時間で
8月や10月の月間降水量に
匹敵する雨が降りました。

24時間降り続いたら1000ミリに
達するパワーを持った雨の
降り方をしていましので、
各地で冠水が発生したようですし、
急激に地盤の緩みが想定されて
土砂災害警戒情報も出されています。

キキクルも濃い紫が出ていました。

速報的な解析では、
宮崎市付近の地上で北から北東の風が
観測されていましたので、
そこに、南東から流れ込んだ
熱帯由来の暖かく湿った空気が流れ込んで、
雨雲が発達したように見えます。

さらに、
過去の経験的には、
北東風が鰐塚山にあたることによる、
地形性の上昇が
影響している可能性もあるとの
指摘もありました。

一方、地上で
北風が吹いていたということは、
昨夜の時点では
まだ前線が北上していなかったようです。

前線がちかくにありましたので、
前線の影響もあったのでしょう。

きのうの夜、
雨雲が北西ー南東につらなった
ラインが一つ北上した後で、
やや風向に変化がみられて
雨雲の形成様相が変わったので、
もしかしたら、これで
前線が北上したのだろうかと思ったら、
気象庁の解析では、
けさになっても、前線は
九州南岸に停滞していました^o^;

たしかに、宮崎県内も鹿児島県内も
アメダスの風向きは、けさも
北寄りの風が卓越しています。


昨夜の雨雲を予想していたコンピュータが
きょう日中にも発達した雨雲を
予想していましたし、
暖かく湿った空気の流れ込みがあって
その可能性が十分にあったものの、
昨夜のような発達具合は、
そこまでは出ていません。

なかなか、このあたりは
まだまだ難しいです。

ただ、前線が
いよいよ北上していると思われ、
今夜から前線の南側になって
雨雲を発達させる力をもった空気が
流れ込んでくるため、
引き続き、急激な雨雲の発達には
注意しておく必要があります。

地盤が緩みやすくなっている所があるため、
危険度が上がりやすい所もありそうです。

とくに、
土砂災害警戒区域にお住まいの方は、
最新のキキクルなどをご確認ください。


一方、台風14号は、
予想通りに上海沖で
動きが遅くなっています。

昨夜21時以降、速度は
「ほとんど停滞」となりました。

今後も、動きが鈍い中で、
予想の中心は、きのうよりも
大陸からやや離れる動きで
クルっと小さく回る
動きになっています。

このため、きのうの予想よりは
すぐに弱まらず、
木曜日までは暴風域を伴う、
予想に変わってきました。

その後は、九州の北を通過するのが
予想の中心で変わりませんが、
中心線はやや南にずれています。

この時点の台風の予報としては
このくらいのずれは、
想定の範囲内です。

九州の北では暴風域が
無くなる予想になっているため、
注意報レベル程度の
風が吹く可能性はありますが、
引き続き、台風本体の影響は
県内にとって
限定的な予想となっています。
(暴風警報級に関して
 「中」以上の発表はありません)

ただ、さらに南に変化しないか、
とか、
暴風域を伴ったまま移動しないか、
など、
もう少し注目して確認しましょう。


台風が、上海沖で停滞する間、
九州付近の気圧配置も
大きくは変化しにくいです。

あす、あさってともに、
上にも書いた通り、
急激な雨雲の発達に注意して過ごしましょう。

土砂災害に警戒するほかにも、
景色が霞むような降り方が続いたときは、
道路の冠水にも注意が必要です。
アンダーパスの通行などは
慎重に見極めて、
少しでも水があったら迂回しましょう。

また、
落雷や突風の発生にも注意が必要です。


台風が順調に進めば、
土曜日には天気が回復してきて、
3連休はおおむね晴れるでしょう。

せっかく晴れても・・・

な連休かもしれませんが、
密を避けて、
おいしい空気を吸いやすい天気、
とも思うことも出来そうです。


さて、引き続き、金曜日くらいまで
雨の降り方に
注意・警戒しておきたい状況ですが、
8月の長雨について
気象庁において検討が行われ、
異常気象だったという情報が
発表されました。

詳しいメカニズムなどは
専門的すぎますので
ココでは割愛しますが・・・

要は、ラニーニャも
エルニーニャもなかったものの、
インド洋やフィリピン周辺の
海面水温が影響して
モンスーンに変化が出たり、
上空のジェット気流の流れや
蛇行がいつもの年と違うことで、
高気圧の分布にも変化が出たことなどが
要因として挙げられています。

専門的な解説に興味ある方は、
こちらから
ご覧になってみてください。

なお、この中で
ノダが特に気になったのは、
ページ番号7(PDF10ページ)の

地球温暖化の影響の項目です。

以下、本文の一部を引用し
引用部分を斜体にて表示します。

8月 12 日~14 日の西日本を中心とした大雨について、地球温暖化に伴うこれまでの気温上昇量がなかったと仮定した場合と現在の実際の気候を反映した場合のそれぞれについて、高解像度の気象モデルを用いた再現実験を気象研究所で速報的に行った。その結果、地球温暖化に伴う気温上昇量がなかったと仮定した実験に比べ、現在の気候状態を反映した実験のほうが、降水量が明らかに多くなった(特に九州地方において)。この実験結果は、西日本を中心とした今回の大雨において、地球温暖化に伴う気温上昇によって降水量が増加した可能性を示唆している。

引用以上(文字色はノダが付加)

長雨になった要因は別として、
その時に降らせる雨の量は、
温暖化によって多くなっている可能性がある、
ということでしょう。

気温が高いほど、
空気中に含むことができる水蒸気量が
多くなることは、
小中学校の理科でも習う分野です。
(飽和水蒸気量)

このことがあるため、
理論的には、温暖化によって
雨の量が増えるだろうということは
容易に想像できるのですが、
実際にコンピュータ上の
再現実験で可能性が確かめられた
といことに意義があるでしょう。

結論としては、さらに
詳細な検証が必要であって、
この実験は決定的なものではありませんが、
九州に住む私たちにとっては、
このことについても、
今一度、考えるきっかけにしたいと思い、
ココに記載します。

210914_1
8月の長雨要因の解説図
(気象庁HPより)
210914_2
けさの桜島
(気象庁HPより)

昨夜、
鹿児島地方気象台から
桜島で山体膨張を示す
わずかな地殻変動が
観測されている、
という発表がありました。

13日の午前3時ごろから
島内の傾斜計や伸縮計に
変化がみられていて、
きょう午後4時に
発表された情報でも、
引き続いているそうです。

しばらく静かだった桜島ですが、
もし、噴火が発生して
その時の風向きによっては
降灰があるかも、というくらい
少し頭に入れておいて
いただければと思います。

週末にかけては、
県内が風下になりやすいです。
210914_3
きょう正午の衛星画像
(気象庁HPより)

台風周辺の中心付近の雲は
少しずつ弱まりつつあります

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