線状降水帯の発生情報が開始

ノダっち

21年6月17日(木) 16:57

Check!のニュースでも
お伝えする予定になっていますが、
きょうから、気象台が発表する
「顕著な大雨に関する情報」
通称「線状降水帯情報」の運用が
始まりました。

この情報、間違ってはいけないのは、
あした線状降水帯が

発生するおそれがあるという
ボンヤリした危機感を
お伝えするものではなく、
すでに発生している
危険な線状降水帯によって、
命を脅かしかねない危機がすぐそこまで
差し迫っている
ということを、
『線状降水帯』という言葉を使って
発表されるものということです。

つまり、この情報が出たときに、
自分がいる場所の
安全が確保されていなければ、
命を守ることを最優先に
行動する必要性があることになります。
 
上記の意味を
詳しく書いておきましょう。
 
 
そもそも、
線状降水帯とは、
積乱雲が連続して発生して線状に並んで
(積乱雲が列を作ったようになって、
 レーダー画像では発達した雨雲のエリアが
 帯状になっている状況で)、
その規模は幅が20~50キロ、
長さが50~300キロに及ぶもの、
と気象庁は定義しました。
 
この線状降水帯が動きが遅いときには、
同じ場所で、景色が霞むような
激しい雨や非常に激しい雨を
数時間降らせ続けることがあって、
急激に危険度が上がります。

この線状降水帯が出来たことを、
以下の条件を機械的に判定して、
1)~4)のすべての条件を満たすときに
「顕著な大雨に関する情報」を
発表するそうです。
(コンピューターによって自動判定)

1)解析雨量(5kmメッシュ)において
  前3時間積算降水量が100mm以上の
  分布域の面積が500km2以上

2)1)の形状が線状(長軸・短軸比2.5以上)
 
3)1)の領域内の最大値が150mm以上
 
4)1)の領域内の土砂キキクルにおいて
    土砂災害警戒情報の基準を実況で超過
    (かつ大雨特別警報の
     土壌雨量指数基準値への到達割合8割以上)
    又は洪水キキクルにおいて
    警報基準を大きく超過した基準を実況で超過
 
1)の面積は、おおむね日南市くらいです。
3)の雨は、局地的でも良いのですが、
  この雨量が降っていると、
  道路が冠水する状態が起きている
  可能性が高い雨の量になります。
4)が一番難しいのですが、
  特別警報基準の8割を超えるメッシュが
  一つでもあることも条件ということで、
  地盤がかなり緩んだ状態、
  ということを言っていると解釈できます。
 
ですから、
警戒レベルで言うと4相当以上の状態で
発表される情報といことで、
上に書いたように、
命の危機が迫っている可能性もあるときに
発表されるということになるのです。
 
また、条件③のような地域では、
道路の冠水が起きている可能性もあるので、
すでに、移動することが
困難な状態に陥っている可能性もあります。
 
また、移動途中に崖があれば
移動中に被災する恐れもある状況でしょう。
 
ということで、
この情報が出たときには
すでに
安全が確保されていることが理想です。
 
それでも、
まだ安全を確保できていない方は、
レベル5になる前に、
何とか安全を確保できる可能性もある、
ということも知らせる情報にもなります。
 
避難の方法などについては、
すでに、何度かニュースなどでも
お伝えしていますが、
避難所に行くだけが避難ではなく、
知人の家に行くことも、
車で安全場所に避難することも、
ホテルなどの頑丈な建物に
避難することも、
そして、自分の家が
絶対的に安全であれば、
その場にとどまることも避難です。
 
ただし、この避難場所は
いざという時になって確認しては遅いので、
その前に、しっかりと、
家族で話し合うなどして
確認しておいてください。
 
 
きょう発表された一カ月予報では、
まだあと一カ月ほど、
梅雨が続きそうな気配です。
 
そして、災害をもたらしやすい
大雨が増える梅雨末期に入っていきます。
 
いま一度、上記の点も含めて
防災点検をしておきましょう。
 

なお、今年は、このように
線状降水帯によって
差し迫った危機を伝える情報ですが、
将来的には、線状降水帯の
予想を伝える情報も整備しようとしている、
と報道されていますので、
またその時には
周知することになるでしょう。
 
とりあえず、命を守りたい
という思いで始まる情報で、
その趣旨には大いに賛同し、
私たちも頑張って勉強して
お伝えしようと思っているのですが、
近未来に導入されるであろう
予測を伝える情報とともに、
今年から始まる情報との差別化など
余計な混乱を与えないか、
また、
年々、発表される情報の種類が増えて
しかもその運用も年々変更されていて、
混乱のもとになっていないか、
小手先の情報種類の増加だけではなくて、
根本的な情報の整備ということも、
発表側の機関の皆さんには
十分に検討してもらいたいものです。
 
なお、気象庁による
シミュレーションにおいて、
県内で、過去に
この情報があると発表された事例について
画像欄に載せておきます。
 
 
まだ、この週末にかけては、
いまのところ、
この情報が出そうなほどの
雨の予想はされていません。
 
きょうは、
梅雨前線が離れているのですが、
湿った空気が流れ込んでいて、
雲が広がりやすく、
平野部は、きのうお伝えした
午前だけではなくて、
午後になっても弱い雨がパラつきました。
 
あすにかけても、
まだ梅雨前線本体は
離れてそうなのですが、
湿った空気の流れ込みによって雲が多く、
気圧の谷の影響も予想されるため、
午後の遅い時間帯ほど
雨雲が増えそうです。
 
あすも傘を準備してのお出かけが
おススメになります。
 
一方、あさっては
午後にかけて次第に雨が止んで、
日曜日は
雲の間からの晴れ間もあるでしょう。
月曜日にかけては暑くなりそうです。
 
来週後半以降の予報は、
今後の新しい予報でご確認ください。
210617_1
過去の
顕著な大雨に関する情報に
該当した事例1

去年の球磨川での
豪雨災害の時の雨雲が
県内にもかかっていて、
6時の時点で
北部山沿いが対象になり、
9時の時点で
北部平野部、
南部山沿い、
南部平野部が
対象になっていました。
210617_2
過去の
顕著な大雨に関する情報に
該当した事例2

去年の7月6日の雨雲、
この時は、南部平野部で
対象になったとのことです。
210617_3
過去の
顕著な大雨に関する情報に
該当した事例3

2019年の
台風8号による雨雲。
日向灘から
県内に上陸したもので、
台風中心付近による
発達した雨雲がかかった
北部平野部が
該当したとのことです。
210617_4
過去の
顕著な大雨に関する情報に
該当した事例4

日向灘を北上した
2018年の台風24号の
目の周辺にある
発達した雨雲も
県内全域を対象に
該当判定された例になっています。

このように、
台風による雨雲は、
いわゆる線状降水帯とは
タイプとしては少し違うのですが、
同じように急激に
状況が悪化しうる事例です。

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