津波

ノダっち

10年3月1日(月) 16:31


南米のチリで発生した巨大地震の影響で
きのう、県内にも津波警報が出されました。

県内で観測された最も大きいものは
50センチでしたが、
これは3カ所しかない験潮所が捉えた数値で、
場所によってはもっと高くなっていた可能性もあります。
(お隣鹿児島県の志布志では
 1.1mの津波が観測されていることからも、
 県内でも同程度になっていた所もあるかもしれません。)

だから、
50センチしか観測されなかったのか、とか、
50センチの波なんてたいしたことないじゃないか・・・
と思うのは大変危険です。
 
そもそも、津波の50センチは、
通常の波(風によって生じる波)の50センチとは
意味合いが全く違います。

我々が普段接している風によって生じている波は、
海の海面付近のみの動き
です。
だから、海水浴で浮き輪を使って海に浮いていても、
サーフィンのようにその波に乗らない限りは、
一つの波によって大きく動くことはありません。
 
一方、津波は、
地震によって海底から海水が動かされているため、
海水全体の動きです。
「海水の流れ」と言ってもいいかもしれません。
港に係留された漁船が
津波によって大きく動かされるニュース映像もありましたが、
もし人が海に入っていたら、
思いっきり津波によって流されてしまうでしょう。
 
ちなみに、
水深5mの港に50センチの津波が来た時、
その速さはおよそ時速25キロと試算できて、
少し速めの自転車くらいになります。
(√g(d+H)で計算:g=重力加速度、d=水深、H=波高)
 
もう一つ、津波の大きな特徴として、
波と波の間隔(波長)が長いことが重要です。
 
普通の波と波の間隔は、
数秒から10秒くらい、
うねりで10秒以上の周期ですが、
今回の津波は、
第一波から第二波までの間隔が
1時間くらいありました。
 
それだけ、波長も長くなっているため、
一度に押し寄せてくる海水もの量も、
津波と風による波では比べものになりません。
 
ザブンと来て、
一瞬ですぐに引いていき、
また次がザブンとくる波とは違い、
周期60分の津波は、30分間くらい、
ず~~~っと、水が押し寄せ続ける
ことになるのです。
 
このため、津波によって
港に押し寄せた海水はどんどん港の中にたまっていき、
堤防を越えてしまうと、町の中にも水が流れ込みます。
 
そして、再び30分かけて水が引いていくのですが、
この沖への流れに飲まれると、
海の中に引きずり込まれてしまうため、
この引き波も大変危険です。
 
 
と、なるべく簡単に
言葉で説明しようと試みてみたのですが・・・
 
津波の怖さパワーを
イメージしていただけますでしょうか??
 
とにかく、普通の波とは訳が違うので、
小さいからと言って
絶対に油断してはいけない!

ということです。
 
現在3月1日午後4時です。
第一波が宮崎に来てから丸一日が経ちます。
 
津波に関する警報や注意報は解除されていますが、
潮位の様子を見ると、
まだ小さな津波なのか、
潮位の変動が収まりきってはいません。
 
ちなみに、
昨夜もキレイな満月前の丸い月がありました。
(写真を撮ったのに、家に忘れて来てしまいました^o^;)
満月や新月の前後は、大潮と言って、
もともと海の満ち引きが大きく
潮の動きも速くなる時期です。
 
そこのこの「海面の変動」が加わっていて、
潮の動きが複雑になったり、
速くなったりしている可能性もあります。
 
釣りやサーフィンなどのレジャー、
また海に入ってのお仕事の方は、
くれぐれもお気をつけ下さい。










100301_1

28日の潮位変化
水色の線は天文潮位といって
理論上の潮位です。
紫の線が実際に観測された潮位で、
高い時で150センチくらいに達していました。
(東京湾平均海面が0m)
(気象庁HPより)










100301_2

水色の天文潮位に対して、
実際の潮位との差がどれだけあるか。
というグラフです。
津波を見るには
こちらの方が見やすいでしょうか。
明らかに、午後4時以降は、
潮位の変化が大きくなっています。










100301_3

きょうの潮位の偏差。
午後4時現在、
引き続き、変動が起きています。




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